雑種

雑種

F1雑種による雑種強勢の利用は、トウモロコシが顕著であった。 トウモロコシのハイブリッド品種の生産には3つの段階がある。 (1)優れた植物の選抜、(2)数世代にわたる自家交配により、互いに異なるものの、純系で非常に均一な一連の近交系を作り出す、(3)選択された近交系を交配する。 近親交配の過程で、系統の樹勢は急激に低下し、通常、野外受粉品種の半分以下となる。 しかし、近交系を交配すると樹勢は回復し、近交系同士のF1ハイブリッドが野外受粉品種よりはるかに優れる場合もある。 近交系がホモ接合であることの重要な帰結は、どの2つの近交系間の雑種も常に同じになることである。

トウモロコシの受粉は風によって行われ、花粉は房から穂の先端から突き出たスタイル(絹)に飛ばされる。 このため、2〜3列の近交系種と1列の近交系種を植え付け、花粉を飛ばす前に前者を取り除くことにより、圃場規模での交配を経済的にコントロールすることが可能である。 実際には、ほとんどのハイブリッド・コーンは「二重交配」から生産される。この方法では、まず4つの近交系を対にして交配し(A×BおよびC×D)、次に2つのF1ハイブリッド品種を再び交配する(A×B)×(C×D)。 この二重交配は、生産性の低い近交系ではなく、生産性の高い単交配A×Bで商業用F1種子を生産するため、種子コストを低減できるという利点がある。 近年は前述の細胞質雄性不稔により、種親の剥離をなくし、雑種種子生産にさらなる経済性をもたらしている

F1雑種品種が示す雑種強勢は、次世代ではその多くが失われる。 その結果、ハイブリッド品種からの種子は植え付けストックには使用されず、農家は種子会社から毎年新しい種子を購入する。

おそらく生物科学における他のどの開発も、ハイブリッドコーン(トウモロコシ)の開発以上に、世界の人口に利用できる食糧供給の量を増加させることに大きな影響を与えたことはなかった。 雄性不稔性を利用した他の作物のハイブリッド品種も劇的な成功を収めており、ハイブリッド品種の利用は今後も拡大しそうだ。

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